<無形民俗文化財公開情報>

<名   称>北原人形芝居(きたばるにんぎょうしばい)

<種   別>大分県指定無形民俗文化財

<公 開 日>毎年2月第一日曜日

<公開場所>原田神社(大分県中津市北原305)

<時   間>12:30~15:30

<駐 車 場>原田神社の駐車場及び臨時駐車場あり

 <ト イ レ>原田神社に仮設トイレあり

<問合せ先>中津市文化財室 Tel. 0979-22-1111
 
(注意)公開場所や日時は変更になる場合があります 
   
<NIA取材記>


 取材は2020年2月2日(日)に行った。遠方であるので前日に到着し原田神社を確認した。

神社は小さいが、拝殿横には舞台が常設されていてた。神社近くに「北原地区生活改善センター」がある。

ここは「北原人形芝居保存会」及び三保小学校の「人形劇クラブ」の練習の場となっている

小学生が数人いたので、今日は練習があるのか聞いたが、ないとの事。

神社の駐車場で夜明かしをしようと思ったが、道の駅「なかつ」に移動して夜明かしした。

翌日、9時ごろ神社につと、30名ほどの関係者が準備に大わらわで、事前取材は難しかった。

外景の撮影を終えると、やることがないので、販売されていた冊子を購入して熟読した。

その甲斐があって、内容が理解できたので、撮影はうまくいった。

この度の芝居には小学生の参加があった。「傾城阿波鳴門」は彼らによって演じられた。

まだまだの感はあったが後継者の問題はなさそうだ。

                             2020年2月 池松卓成 記す  
  
 <北原人形芝居の内容説明>

 北原人形芝居の起源は古く、七百年を遡ると伝えられている。伝説によると、鎌倉時代最明寺入道北条時頼が、諸国巡歴の途次

大分県中津市大字湯屋において、大熱の病にかかり生死が危ぶまれた。大貞薦神社の陰陽師で、中津市北原に住む阿部大内蔵が

加持祈祷に努めるとともに、北原の村人達もあれこれと心を傾け、看護に尽くしたので程なく時頼も全快した。

そのお礼参りと快癒祝賀の行事が、北原の大師堂で行われ、その余興で村人が手の甲に目鼻を描き着物の袖口からのぞかせ楽しんだという。

時頼は、その演技を厚く称賛し、「北原は海にも添わず、山にもつかぬ土地柄ゆえに、踊りを業とし渡世せよ」と云ったという。

これが北原人形芝居の始まりとされている。

元禄年間には上方浄瑠璃の影響を受け、三味線の伴奏と太夫による語りとともに演じられるようになった。

北原人形芝居が、中津以外の地に進出したのは、元禄七年(1694年)、府内(大分市)の浄安寺において、布袋屋と言う劇団が

府内藩主松平近陳に招かれて上覧興行したと記録にあるのが最初である。

人形は、「突込」と言う一人遣い(一体の人形を一人で操る)の小型人形で、目や口等の操作は出来ないが、すでに近松や義太夫節を取り入れていた。

享保十九年(1734年)には、北原にも三人遣い(一体の人形を三人で操る)の人形芝居ができ、人形も大型になり目・口・眉も動く派手なものとなった。

浄瑠璃も雄大さと繊細さを加えたため、人気を失いかけていた人形芝居は隆盛を取り戻した。

寛政二年(1790年)には、一人遣いの「はさみ遣い」が考案された。これは、右足の指で人形の右の踵をつかみ、左足の指で人形の左の踵をつかみ、

繰り手の歩みのとおり人形も歩む。また、左手で人形の首を、右手で人形の右手を繰るもので、全国でも北原人形芝居だけの操演法である。

人形や歌舞伎は次第に進境を見せ、文化・文政期に最盛期を迎え、北原の人形座九座、歌舞伎数座は互いに技を練り芸を競った。

そして、代々の藩公の援護を受け、年々栄え、座元には石高百十四石四斗を賜り、刀脇差を許され、諸役御免とされていた。

現在、この北原人形芝居の公開と同時に「万年願」が行われる。これは、北原のお伊勢堂(現在は原田神社)で行われていた。

昔、この村に疫病が流行したとき、村人が永久にアヤツリを奉納することを誓って悪疫退散を祈願した。その故事にのっとり中断することなく

奉納されている。これは、村の祭りであるから歌舞伎役者も参加しょうという事で、アヤツリの代わりに歌舞伎芝居を奉納したところ

疫病が流行して困ったという。万年願の行事は、くぐつ以来の伝統によるアヤツリでなければならないという事で、現在も続いている。

現在公開されている北原人形芝居の演目は、翁渡(おきなわたし)・傾城阿波の鳴門(けいせいあわのなると)

伊達娘恋緋鹿子(だてむすめこいのひかのこ)・日高川安珍清姫(ひだかがわあんちんきよひめ)・日高川入相花王(ひだかがわいりあいざくら)

絵本太功記(えほんたいこうき)である。                             北原人形保存会の説明冊子より