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<無形民俗文化財公開情報>
<名 称> 母ヶ浦面浮立(ほうがうらめんぶりゅう)
<種 別> 佐賀県指定無形民俗文化財
<公 開 日>毎年九月の第二日曜日
<公開場所> 鎮守神社(佐賀県鹿島市七浦母ヶ浦)
<時 間> 8:00~9:00 道行(鎮守神社前の農道)
9:00~ 鎮守神社で奉納
<駐 車 場> 一般の駐車場はないので農道に駐車するしかない
<ト イ レ> 母ヶ浦公民館(鎮守神社入り口)にある
<問合せ先> 鹿島市商工観光課 TEL 09546-3-2111
(注意)公開場所や日時は保存会の都合で変更になる場合があります |
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<NIA取材記>
撮影は2018年9月9日に行った。
やっと駐車スペースを見つけて駐車したが、臨時駐車場はない様子。
早く着いたつもりであったが、もう辺りはカメラマンであふれていた。
良い場所はすでに抑えられており、場所取りが大変だった。
道行は、鎮守神社に通じる100mほどの真っすぐな農道で行われる。
農道の両脇は田んぼで、稲が色付き始めている。
だから、場所を選ばなければどこからでも撮影はでき、稲の背景で画は引き立つ。
総勢100名程度の踊り手が一直線に並んで道行を行うさまは、とても良い画像となる。
道行が終わり、少しの休憩があって鎮守神社での奉納となる。
道行は一直線に舞うが、ここでは境内一面に広がって舞われる。
浮立方には順番があるそうで、1番手と2番手が争い、それを3番手が仲裁するとの事。
このようなものは、ここ「母ヶ浦面浮立」しか見ることが出来ないそうだ。
取りこぼしが無いように注意して撮影を行った。
記述 2018年9月 池松卓成 |
<母ヶ浦面浮立の内容説明>
母ヶ浦面浮立のおもな出演者の役割と衣装などについて説明する。
『鬼(かけうち)』は、面浮立の主役とも言うべき役割でシャグマのついた鬼の面をかぶり、腹に小太鼓をかけて打ちながら踊る。
鬼の人数は決まっておらず、だいたい男性20~40人で踊るが、10人以下で踊ることもある。
衣装は、「波に碇(いかり)」などの模様のついた法被(はっぴ)と白い股引を着る。
『かねうち』は、女性の役割。二人一組で10人(5組)前後での参加となる。1つの鉦を2人で持ち、拍子に合わせて2人同時に鉦をたたく。
衣装は、赤い襦袢の上に青い前だれを付け、その上に浴衣を着流す。
そして、頭に花笠をかぶり、手ぬぐいで顔をおおっていることが特徴である。
『大太鼓打ち』は、男性一人での参加となる。名前のとおり、大太鼓を打つ係である。
衣装は鬼と同じで、頭にかねうちと同じ花笠をかぶる。
『笛吹き』は、名前のように笛を吹く係である。男性数人で構成されている。衣装は羽織(はおり)、袴(はかま)を着る。
『烏毛(とりげ)』は、大名行列の一部を模したものと考えられている。
先に麻の毛のついた長い棒(烏毛)を二人一組で受け渡しながら踊る。大名行列の奴(やっこ)のような衣装をつけている。
面浮立(めんぶりゅう)は、佐賀県を代表する民俗芸能として全国的に有名であるが、
分布は七浦地区を中心に鹿島市、藤津郡、杵島郡、武雄市、多久市、小城郡そして佐賀郡の一部にまで広がっている。
七浦地区に最も多く、離れるにしたがって少なくなっている。
各地区の面浮立の伝承によると、やはり七浦の面浮立が各地に広がったのは間違いないようである。
この面浮立の起源には色々な説があります。
例えば大内氏や大友氏との合戦に由来するというもの、豊臣秀吉の朝鮮の役に由来するというものなどがある。
なかでも約400年ほど前に神埼郡の田手縄手で行われた大内氏と龍造寺氏との戦に由来するという説がよく言われるようである。
この戦いは、中国地方から侵略してきた大内氏を、竜造寺氏が迎え撃った戦いで、龍造寺氏は軍勢が少なく圧倒的に不利であった。
負け戦を覚悟したそのとき、配下であった鍋島平右衛門の一族郎党百騎余りが、シャグマをかぶり奇襲をかけ撃退したという。
そのとき踊った戦勝踊りが元になっているという説である。
いかにも勇壮で、人々が好みそうな由来ではあるが、記録には「シャグマをかぶって」とは書いてあるが、「鬼面を着けて」とは書いていない。
また芸能の中心地である七浦と、神埼とのつながりがよく分かっていない。
さらに七浦のいくつかの地区には、「面浮立は諫早から伝わった」という伝承も残っている。
おそらくは農耕に伴って、耕作に害をする悪霊を封じ込め、豊作を願う神事として面浮立ができたのではないかと思われる。
一ロに「面浮立」と言ってもいろいろな種類がある。現在の分類では3つに分けるのが普通である。
最も古いかたちを残しているといわれる「音成(おとなり)面浮立」の流れを第一類、
鬼面芸として完成された芸と構成を持っている「母ヶ浦(ほうがうら)面浮立」の流れを第二類
諫早や長崎地方に分布している踊りとしての色合いが濃くなった面浮立を第三類
その分類からみると鹿島には音成系と母ヶ浦系の2種類の面浮立があるということである。
音成面浮立と母ヶ浦面浮立はそれぞれの代表的な面浮立として、いずれも佐賀県の指定民俗文化財である。
この2つの面浮立の違は、音成の方に古い要素を残す曲目が多いのに比べ、
母ヶ浦は後からいくつかの新しい曲目が付け加えられ、より華やかになっている。
鬼(かけうち)の所作としては、音成が腰を落とし体に添って手を上げ下ろしするなど、直線的な動きが多いのに比べ、
母ヶ浦は手の振りや所作がしなやかになり、演技自体も複雑で洗練されたものになっている。
諫早など長崎県に分布する第三類はこの傾向がより強まり、踊り的なものになっている。
現在、鹿島市には音成系より母ヶ浦系の面浮立が多く分布している。
鹿島市生涯学習課のHPより転載
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