<無形民俗文化財公開情報>

<名   称> 杷木の泥打(はきのどろうち)

<種   別> 福岡県指定無形民俗文化財

<公 開 日> 毎年3月第4日曜日

<公開場所> 阿蘇神社(福岡県朝倉郡杷木町大字穂坂)

<時   間> 午後3時頃~午後5時頃、神事は正午頃から始まる

<駐 車 場> 阿蘇神社には駐車場はないが、付近の農道に路上駐車が30台程度可能

 <ト イ レ> 神社に仮設トイレがある

<問合せ先> 杷木町教育委員会  TEL0946-62 -1110
 
(注意)公開場所や日時は保存会の都合で変更になる場合がある 
   
<NIA取材記>


 「杷木の泥打」は、2003年3月28日に撮影した。

泥つぶてがあちこちから飛んでくるという情報があつた。

頭からつま先まで雨カッパで身を覆い、ビデオカメラはレンズ部、マイク部以外はビニールで保護した。

しかし、ダメだった。レンズめがけて泥土が飛んできた。

レンズの保護の為にフイルターを付けていたのが不幸中の幸いであったが、

フイルターは傷がつき使用できなくなった。

このような動きが大きい祭りは、三脚固定での撮影はできない。

どうしても、肩のせ撮影でなければ迫力ある映像は撮れない。

おまけに、神社の細い石段は使用できないので、石段脇の急な斜面を滑り落ちながら

12Kgのカメラを担ぎ必死の撮影を続けた。

この祭りは、奇祭とも言われるだけあって面白い。

                   池松卓成 記
  
 <泥打ち祭りの内容説明>

  阿蘇神社は、江戸初期(1692年)頃、穂坂地区の産神として熊本県の阿蘇大明神を勧請した神社である。

ここには、通称「泥打ち祭り」と称され、福岡県が無形民俗文化財に指定された奇祭が、毎年3月の第4日曜日に行われる。

祭り当日、宮座に集まった氏子達に二升入りの大杯がまわされる。

一回り飲み終えたところで「おみくじ」をひき、今年の代宮司(臨時的な宮司さんの事)が決められる。

 境内では、神紋が入ったハッピを着て、赤たすきがけに手拭を被り、腰にはシメ縄を捲いた小学5,6年の12名の男の子たちが、

神田から運ばれてきた土を水でこねて泥土をつくり、代宮司が現れるのを待ち構えている。

やがて、神殿で純白の神衣に着替えた代宮司は、神殿の「神の座」から境内に下りて来る。

泥土の中央に座るやいなや、子供達は代宮司の頭から泥土を塗りつける。

「白い所が見えないように泥をぬれ」「まだ、ここが白いぞ」と大人たちがの興奮した声があちこちから聞えてくる。

大杯で飲んだ酒の酔いがまわってきた代宮司は、全身に塗られた泥の重さもあってなかなか立ち上がれない。

両脇からの若者の介添えで、やっと代宮司はフラフラと立ち上がる。

牡獅子、雌獅子の先導で地区はずれの道祖神まで約500mの道をヨロヨロ、ヨロヨロと歩きはじめる。

介添えがなければ、すぐにでも倒れそうだ。

この道中、4~5mおきに泥土が用意してあり、12名の子供達は、これらの泥土を取って代宮司めがけて投げつける。

泥のつぶては、参観者の方にも飛んでくる。何もかにもが泥だらけ。まさに奇祭である。

代宮司の体に泥がつけばつくほど、その年は大豊作との言い伝えがある。