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<無形民俗文化財公開情報>
<名 称> 今宿青木獅子舞(いまじゅくあおきししまい)
<種 別> 福岡市指定無形民俗文化財
<公 開 日> 毎年1月1日(元旦)
<公開場所>八雲神社(福岡県福岡市西区今宿青木416)
<時 間> 11:30 神事、12:30~13:30 獅子舞奉納・餅まき
<駐 車 場> 神社駐車場はない、路かた駐車のみ
<ト イ レ>八雲神社にある
<問合せ先> 福岡市教育委員会 文化財部 文化財整備課 TEL 092-711-4783
(注意)公開場所や日時は保存会の都合で変更になる場合があります |
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<NIA取材記>
この今宿青木獅子舞は、2012年(平成24年)元旦に撮影した。
午前10時30分ごろ、現場近くに着いたが神社が見当たらない。
人に聞くにも元旦であるせいか誰も歩いている人はいない。
こんな時には神社ののぼり旗を探すのが一番だ。一対の祭礼旗は、祭礼日には必ず上がっている。
神様は天から、こののぼり旗の先に下りてこられる。
神の依り代で すから。それが証拠に先には榊や竹が付けてある。
旗は遠くからでもよく目立つ。八雲神社はあまり大きくなく、大通りから奥まった所にあった。
獅子舞があるというのに、初詣での人がちらほら。本当にここで獅子舞があるの?
と訝りながら聞いてみると、確かにあるそうだ。安心した。
この八雲神社の祭神は、素戔男尊とその奥さんの櫛名田比売。
12時30分頃から保存会の挨拶があり、獅子舞が始まった。
ここの獅子舞は、私が今までに見たものとはだいぶ趣が異なっていて、
演劇的要素が強く、かつ信仰的で娯楽的要素を併せもっている。
この地区には、宇田川原豊年獅子舞(福岡市指定)や元岡獅子舞(福岡市指定)もあって
同様な獅子舞で あると聞く。これらも元旦公開であるから後年の撮影となる。
はたして、全国に獅子舞の数はどれくらいあるのだろう。
官指定でなければ神社の数とほぼ同じ だろうが。
郎八や 万作踊り 獅子の舞
記述 2012.1.7 池松卓成 |
<今宿青木獅子舞の内容説明>
今宿青木獅子舞の伝播の経路は詳かでないが、その由来は以下の通りである。
朝廷は当時の親交国であった百済を救済するため唐・新羅の連合軍に戦いを挑んだが、663年「白村江の戦い」に敗れてしまった。
朝鮮半島の覇権争いは新羅が勝利を得ていた。
吉備真備は、遣唐使として数回唐に行き副使も務めた程で、鑑真を日本に連れてきた事でも有名であるが、
このような状況下にあって、日本においても新羅は脅威であり、唐より帰国すると太宰大弐に任命され九州に下り
12年の歳月を経て高祖山に唐や新羅の外敵を防ぐ目的で怡土城を築城した。
768(神護景雲2)年高祖山に築かれた怡土城の落成を祝って青木地区の住民が獅子舞を奉納したのが始まりと伝えられている。
現在残されている小太鼓の銘に「文久三年(1863年)11月吉日」とあり、この時には獅子舞が行われていたことを裏付けている。
その後、第2次大戦中に一時中断、戦後に復活をみたものの、後継者がいなくなって昭和三十三年に休止状態になったが、
地区組織である青栄会の発起によって昭和五十年に再び復活、正月元旦に村氏神の八雲神社に奉納している。
そのほか、「悪魔を祓って吉祥を呼ぶ」めでたいものとして、五穀豊穣祈願の祭典や落成式その他の地域の催し、海外にも招かれて上演している。
獅子は二人立ち一頭獅子舞で幕胴である。百姓の素朴なもので、演劇的要素が強く、信仰的で娯楽的要素を併せもっている。
囃子は太鼓一人に笛三~四人、獅子唄はない。口上を太鼓打ちがつとめ、演目によって一人~三人の演技者が登場する。
演目は、①門付 ②猿と獅子 ③獅子の餌拾い ④郎八のひげそり ⑤郎八の獅子打ち ⑥源丞の餅搗きが公開されているが、
⑦あやとり ⑧鬼女の8種目があった。
以下に太鼓打ちがのべる口上と内容を記す
①門付 太鼓打ちが口上をのべ獅子が舞う。 獅子は元来家々を回って(これを門付という)悪霊退散、護国豊穣を願って舞われるものであるが、
ここ今宿青木獅子舞は家々を回ることはない。
神社の一の鳥居の石段最下部に構え、合図とともに一気に本殿まで突き進みしばし舞う。その後、舞庭に下りて舞う。
<口上>白金黄金をくわえおろして あなたのお倉に舞やおおさめ候 とおきはいついつまでも いつまでも
獅子はあなたのお家の祝い獅子 なあれば お家繁昌と祝うたーり (道囃子で引込む)
②猿と獅子 猿が三番叟を踊り獅子とたわむれる。 御幣をもった猿が舞う。
舞の後、獅子を招いて、獅子のノミをとり、マリを廻して獅子と遊び、仲が良いところが演じられる。
<口上>奉賛やれや 奉賛やれや 寿びやれや 寿びやれや 先にはやらじと お猿さんが山行き 尻振ってかようたり
おまねき おまねき 獅子と猿とは仲がよいよい 猿と獅子との楽の遊び そおらつった そおらつった
獅子はあなたのお家の祝いの獅子なあれば お家繁昌と祝うたーり
③獅子の餌拾い ござの上の米を獅子が拾う。
<口上>こまかり こまかり 只今より獅子の鶴の餌拾い 只今より獅子の楽遊び 獅子がいまよりしばらくおなぐさみ
獅子はあなたのお家の 祝いの獅子なあれば お家繁昌と祝うたーり (道囃子で引込む)
④郎八のひげそり チョンマゲ姿の郎八は、ヒゲはのび、髪は乱れたままで、八雲神社に出かけていくが、
人に晒われるのでホイゲをそり、 髪を結いなおして行くように教えられる。
そこで、膝を砥石にみたてて剃刀を研ぎ、ヒゲを剃り、髪を結いなおして出かける様を演じる。
<口上>省略
⑤郎八の獅子打ち 鉄砲の名人の郎八が、田畑を荒らす獅子を打ち取ってくれと頼まれ引き受ける。
追い出された獅子を狙って一発撃つが外れてしまう。 そこで二つの弾を込めて撃つと倒れるが生きている。
とどめの一発で死んでしまったが、よく見ると今宿青木の郷土芸能の獅子であった。
そこで五穀の種で 生き返らせ、その祝いに「万作踊り」を踊って終わる。
<口上>省略
⑥源丞の餅つき 源丞とおさん夫婦が餅つきを始める。産み月のおさんは餅つきの最中に片隅によって
小便をするやら手鼻をかむので、源丞は「そんな行儀の 悪い嫁ごは出ていけ」と言う。
そこへ爺さんが訪ねてきて、内輪もめしている事を知り、夫婦生活について諭し、
立派な子供を産んで仲良く暮らして、この爺を 安堵させるように頼んで帰るという物語を演じる。
<口上>省略
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